「やむにやまれぬ思い」がイノベーションを起こす[田中 勇一]

田中勇一
社会起業大学学長・リソウル株式会社代表取締役
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イノベーションという言葉が広く使われるようになりましたが、本当に現代社会にイノベーションがあふれていると言い切れないのが現状です。この物質的に豊かな世界で、時代を変えるイノベ―ティブなものを生むには、各々の「やむにやまれぬ思い」が必須になってきます。そうした思いを引き出し、行動力につなげることがイノベーションあふれる社会をつくるはずです。(社会起業大学学長=田中勇一)

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先行きが見えない現在、これほどイノベーションが求められる時代もないでしょう。私が客員教授を務めている多摩大学大学院も「イノベーションを実現するMBA」を標榜しています。こうして巷にイノベーションという言葉が氾濫してはいるのですが、果たして現在の社会にイノベーションが本当に起こっているのかと考えると、首をかしげる人が多いと思います。
 
イノベーションはどのような時に起こるのか。トーマス・エジソンが発明した発熱電球、ヘンリー・フォードが開発したT型フォード自動車、井深大が開発したトランジスタラジオなど時代を変えたイノベーティブなものは、研究者の飽くなき情熱と努力を通して生み出されています。
 
生物の進化、例えば、魚類が陸上に上がり両生類・爬虫類になっていくこともノベーションです。さらに、歴史に目を向けると、明治維新も社会や政治のシステム、そして生活様式が大きく変貌しており、イノベーションと呼べると思います。
 
魚類が両生類に変化していく過程は、淡水における生息場が、どんどん狭くなっていた種が、仕方なく陸上で生きていくことを選択し、やむなく厳しい進化の道を選んだといわれています。さらに、明治維新についても、維新の志士たちの原動力は、このままでは欧米の列強国に日本が支配されてしまうという危機感だったのは言うまでもないことかと思います。
 
つまり、「イノベーション」という言葉の響きはとても美しいのですが、イノベーションが起こる現場というのはドロドロしていて、ある意味とても追い詰められた、厳しい環境なのです。

■本当に追い込まれているか

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田中勇一
社会起業大学学長・リソウル株式会社代表取締役
京都大学理学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)入行。米国カーネギーメロン大学にて MBA 取得後、銀行でのALM業務に従事。その後、起業支援等を経て、新銀行東京設立プロジェクトに草創期より参画し、人事部門責任者として銀行立ち上げに大きく貢献。現在は、リソウル㈱を設立し、経営支援、転職支援等に取り組む。2010年4月社会起業家育成に特化したビジネススクール「社会起業大学」設立。2013年4月多摩大学大学院客員教授に就任。

2015年8月15日(土)13:22

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