次の10年へ。サステナビリティを実現しよう。LOHAS11速報

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大和田順子(ロハス・プロデューサー)

ロサンゼルス空港から車で30分、ヨットハーバーのまちマリナ・デル・レイで、11回目のLOHAS会議「LOHAS11」が開かれた。新旧 LOHAS企業の経営者達をはじめ、スターバックスやオフィスデポ、ソニーなどグローバル企業や、自治体からの参加者などで600人の定員は完売だ。
晩にはプールサイドやヨットハーバーを眼下に見下ろす屋上などでカクテルパーティが開かれ、一年ぶりの再会を喜び、近況を報告しあう姿や、新しい出会いが 見られる。LOHASの生みの親の一人であるフランク・ランペ氏や、ポール・レイ氏とともにCSRコンサルティングを行っているディクソン・デ・レナ氏な ど旧知の方々と少し話をしてみると、台風カトリーナによる被害や復興、そして映画「不都合な真実」は、ずいぶんとアメリカの人々の意識を変えたようだ。

自治体もグリーン度を競う時代に

アメリカの州政府や大都市は、カトリーナ台風を経験し、気候変動への危機感を強め、サステナビリティに本腰を入れて取り組み始めている。1位ポート ランド、2位サンフランシスコ、3位シアトル、4位シカゴ、5位オークランド—。これは、サステインレーン社(※)が2005年から調査・発表している 「USシティランキング」で、50の大都市をサステナビリティ指標で比較した2006年版上位5都市だ。ランキングの項目は、都市計画、大気・水質、公共 交通機関の利用、住宅の取得しやすさ、気候変動・エネルギー政策、地場農業など15項目からなっている。

※ SustainLane:主にインターネットでグリーンな自治体、商品について情報を発信するメディア。http://www.sustainlane.com/us-city-rankings/

LOHAS11では、初めてこうした自治体の取り組みがテーマに上がり、初日の基調講演は、このシティランキングで1位のポートランド、4位シカ ゴ、9位デンバー、そして30位のロングビーチの市担当者による発表だった。

85点で1位のポートランドは、計画、気候変動政策、グリーン経済、情報共有などの点で1位を、大気、水質、環境配慮建築(LEED)でも2位を獲 得するなどしている。「アワニー原則」(※)に則ったまちづくりを進めており、1993年にはCO2を20%削減する地域行動計画を、1995年には 「2040年地域発展構想」を策定し取り組んできた。市の計画の中心的価値をサステナビリティとし、持続可能な開発オフィスではリサイクル、グリーン建 築、食糧政策、エネルギー効率、再生可能エネルギー、経済開発を所管している。自転車専用道路が整備され、毎日1万人以上が通勤に自転車を使用し、路面電 車など公共交通機関やカーシェアリング、ハイブリッドカーを使用する人も多い。カフェ、レストラン、商業施設も住居に溶け込み、質の高い健康でサステナブ ルな全米のロールモデル都市だ。

※ アワニー原則: 1991年(平成3年)、アメリカの自動車に依存した都市形態とコミュニティの崩壊に危機感を抱いた地方自治体の幹部がヨセミテ国立公園 のホテル「アワニー」に集まり、持続可能なまちづくりを目指す原則を取りまとめた。

4位のシカゴも、1992年には健康と環境の保護を基本憲章とする環境部(DOE)を設立し、都市生活の質を向上させると共に経済発展を促進してき た。米国一グリーンな都市にしようと、積極的に植林や建物の屋上緑化を行っている。

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オーガニック農産物・加工食品から始まって

ゲーリー・ハーシュバーグ氏による基調講演オーガニック農産物関連のビジネスを拡大し、世の中を変えていこうと1997年 に始まったLOHAS会議。ロールモデルの一つが、ヨーグルト・乳製品で業界3位の売り上げを誇る「ストーニー・フィールド・ファーム」 だ。2日目の基調講演は同社の会長兼CE-YOのゲーリー・ハーシュバーグ氏が、その歴史、現状、今後の計画について語った。1983年にオーガニック農 業学校の一施設からスタート。現在はダノンが筆頭株主ではあるが、従業員420人を抱え製品の85%がオーガニックであり、毎年売上を伸ばし続けている。 そのミッションステートメントは、品質、持続可能な農業、収益性、従業員の健康、そして環境への責任という5つだ。大手企業の傘下に入っても、その基本的 な価値観を守りながら、LOHAS企業の範として収益性と社会性の両立を維持し続けている。
同氏の発言にもあったのだが、米国最大の自然食品チェーン「ホールフーズマーケット」も「地域の生産者を応援しよう」というプロモーションに力を入れるな ど、地域の家族経営農家をもっと支援しよう、増やそうという機運が高まっているようだ。
その他のセッションでは、廃棄物を原料に様々な製品を作りだしている25歳のカナダ出身の起業家トム・スザキー氏の「テラサイクル (Terracycle)」をはじめ、ファッションブランド、ホテル、エアライン、インターネット、そして建築分野でも昨年から住宅部門まで認定 範囲が広がったLEED(グリーンビルディング認証システム※)の最高レベル、プラチナ認証を取った住宅の事例など、幅広い分野の最新情報が共有された

※ LEED:米グリーンビルディング協議会(USGBC)による、建物の環境配慮度を評価し認証する仕組み。1995年から始まり、当初は商業用ビル、工 場、学校、大規模集合住宅など建築物を対象にしていたが、2006年から住宅部門の認証も始まった。

LOHAS層はインフルエンサー

LOHAS層グラフ最新調査結果では、米国のLOHAS層は16%、ナチュラル志向層(Naturalites)25%、 実用志向層(Conventional)23%、浮遊層(Drifters)、無関心層14%という結果になった。昨年から5クラスターになり、 LOHAS層はほとんど変わらなかったが、無関心層が6%も減ったのはアメリカ社会全体が気候変動など環境問題への危機意識が高まっていることが背景にあ るのではないだろうか。LOHAS層はマーケティングで従来言われてきたイノベーター層やアーリーアダプター層と重なる部分が多い。価格より価値を重視 し、他の人々に影響を与えるインフルエンサーである。LOHAS層の比率は変わらないが、新しい商品で彼らに評価されたものが、その影響力でフォロワーに 広がっていくというプロセスだ。

よりいっそう、LOHASらしく

「この会議に参加している人たちはオープンマインドで学ぶ意欲の高い人が多いですね。」と語るのは、ジェレミー・ハンター教授(Drucker School of Business)。「バランスの取れた経営」をテーマに、経営幹部が収支などの管理だけでなく、自分自身の内面をいかに開発していくかというセッション が行われた。日本人の母を持ち、自ら神道や禅を学びつつ、瞑想やスピリチュアリティを経営に活かす方法論を研究、ドラッカースクールで実践している。
LOHASな人々は物の所有や消費から、心の豊かさや社会の豊かさの追究へと注力するポイントがシフトしている。個人の生活、そして経営に如何にスピリ チュアリティを取り入れ、心の豊かさを実現していくのかが彼等の関心事だ。
オーガニックフードオーガニック農産物関連のビジネスを拡大し、世の中を変えていこうと1997年に始まったLOHAS会議 も、参加企業の業種・関心が衣食住余暇そしてまちづくりへと広がり、持続可能な社会の像も見えてきた。一方で、フォロワーを対象としたグリーンビジネス花 盛りの今日のアメリカにおいて、ファミリービジネスや中小規模のLOHAS企業は、LOHASな人々に対し、「一層顧客や従業員との長期的な信頼関係を築 き、商品の原料や製造のプロセスなど情報を公開し、ストーリーを語りつづける“知恵(ウィズダム)”が必要だ」と『カルチュアル・クリエイティブ』の著者 ポール・レイ氏は強調する。
今年は日本人参加者が10人以下と少なかったが、『いきいきロハスライフ』著者のイデトシカズ氏による「なぜ日本でこれほどロハスが広まったのか」という プレゼンテーションも聴衆の関心を集めていた。「神道の神とはスピリット、Force(人智を超えた力)だと思います。日本には神道や自然と共に生きると いうLOHASの原点があるではありませんか。もっとそれを見直し、学ぶべきです。」とは前出のハンター教授の弁だ。来年は日本人の価値観や暮らし、各分 野の質の高いLOHAS商品をぜひ紹介したいものだ。

2007年5月18日(金)19:04

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