地域を活性化する観光ツーリズムと企業連携【戦略経営としてのCSR】

このカレッジの役割に替わるものとして、企業のノウハウを共有し地域強化に活かせるのではないか。過疎地域に対し企業がすべきことは、コンテンツづくりよりも人材育成とナレッジの共有だ。企業が主体的に支援することで地域活性化につなげる。

とりわけ、地域が一丸となって常に価格に見合う顧客の「満足度」を追求し続けている点は興味深い。例えば、2時間で約1万円のサイクリング。値段は高いが、実際に経験すると満足度は高い。地元のコンテンツを生かすことが付加価値を生み、顧客の満足度を高め、更に地域のコンテンツをつなぐ役割も果たす。このサイクリングに年間1万5000人が参加する。

また、地域コンセプトを共有し、各施設の情報を伝えるアンバサダーを育てるアンバサダー・プログラムを毎週3時間実施。地域の歴史や自然を学び、町のポテンシャルに気付き、柔軟で新鮮な視点で町を見直すプログラムだ。良い気遣い、良い活動をした人は新聞などで紹介して盛り上げる。地域のコンセプトを語れる人材を一人でも多く増やす。

成功の根底には、一人でも多くの観光客に来てほしいというゴールを地域で共有し、一体となった取り組みがある。コンセプトの共有を軸に地域が連携していくことは、企業価値を高める取り組みと同じだ。

(この記事は、株式会社オルタナが2014年5月7日に発行した「CSRmonthly第20号」から転載しました)

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大久保 和孝

株式会社大久保アソシエイツ代表取締役社長(公認会計士・公認不正検査士)。慶應義塾大学法学部卒。前EY新日本有限責任監査法人経営専 務理事(ERM本部長)。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授、商工組合中央金庫取締役、セガサミーホールディングス監査 役、LIFULL取締役、サーラコーポレーション取締役、サンフロンティア不動産取締役、武蔵精密工業取締役(監査等委員)、ブレイン パット監査役、他多数の企業等の役員に就任。

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