少年時代の憧れだったクマゼミ――私たちに身近な生物多様性(12) [坂本 優]

子どもの頃、夏休みの昆虫採集で、関西方面に親戚がある子は、時に、翅がミンミンゼミのように透明で、胴体が黒くて大きいクマゼミを採集していた。二学期になって誇らしげに学校に持ち込まれた標本を見せられると、無性にうらやましかったものだ。

アブラゼミ(上)とミンミンゼミ
アブラゼミ(上)とミンミンゼミ

当時、暮らしていた山梨の甲府盆地では、感覚的には夏のセミは圧倒的にアブラゼミだ。ミンミンゼミでも、声はよく聞くものの数は比較的少ないうえに、子どもにとっては捕まえにくい高いところにしか止まらない(と感じていた)、手に入れるのが難しい貴重なセミだった。ましてやクマゼミである。

そのクマゼミが都内でも普通のセミ化しつつある。豊かな森によって守られ、野草などでは在来種が比較的残っている明治神宮においても、クマゼミは決して珍しくない。

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坂本 優(生きものコラムニスト/環境NGO代表)

1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(2011年以降、バルディーズ研究会議長。趣味ラグビー シニアラグビーチーム「不惑倶楽部」の黄色パンツ (数え歳70代チーム)にて現役続行中)

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