欧米企業が先行する「水」への取り組み――下田屋毅の欧州CSR最前線

■他企業や団体と協調行動を取る必要性

これらの企業が今回も口を揃えて言っていたのは、「1社では実施するのに限界がある。サプライヤーも含めて情報を共有し、他企業や団体と協調行動をとっていく必要がある」ということだ。

そして、水に関わる問題は、今後企業に差し迫るリスクとしては緊急度が高く、競合企業であっても協力しなければならない課題だということである。具体的には、水の問題ではコカコーラとペプシでさえ協力関係にあるということである。

それらの企業間を取り持つのが、WWFなどのNGOだ。WWFは、ザ・コカコーラ・カンパニー、SABミラー、H&M、マークス&スペンサーなどの企業と水に関する協働を行っており、「ウォーター・スチュワードシップ」というコンセプトを2013年に提示し、取り組みを促している。

またCDPは、投資家の視点からCDPウォーターとして、水に関する情報開示を企業に促している。2014年は、日本企業はターゲットとなっており、前年の21社から150社へと対象を広げられているグローバルに水の情報開示は関心が高まっており、年々改善され対応が進められているのだ。

このように水に関わる問題は、国内の事業所だけではない海外の事業所やサプライチェーン、特に海外のサプライヤーの水の影響に議論はシフトしてきており、先進企業は既に様々な取り組みを行っている。水への対応や情報開示が遅れている企業は、ビジネス上のリスクとして今後投資が受けにくくなることも示唆されている。これらの状況を真剣に受け止め是非行動を起こしていただきたい。

shimotaya_takeshi

下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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