【オルタナ42号】人を大切にして500年、現代に生きる「掟書」――虎屋黒川光博社長インタビュー

そのきっかけの一つが、2011年の東日本大震災です。震災が起きたとき、社内でニュースを見ていました。「こんな光景はうそだろう」と思いながら、人生があっという間に変わってしまうのを目の当たりにしました。

実際、東北の大変な状況は報道で知っていましたが、幸いにも東北出身の社員たちの家族は皆さん無事で、当社の事業への影響もあまりありませんでした。

でも、「このままでいいのか」「やるべきことを本気になってやらなければいけない」「今やらなくて、いつやるのだ」という強い思いがこみ上げてきました。当時、社員には「自分のこととしてとらえろ」「他人事のように震災
を語るな」というメッセージを発していました。

そのような中、菓子業界が集まる場で、デパートの年中無休、長時間営業について議論になりました。「年中無休」は売上げ競争の延長線上にありましたが、それが一番大切なことではありません。

変わり行く経営環境の中で、社員の労務環境など以前から問題ではないかと話には出ていたものの、それまで具体的な行動は起こしていませんでした。しかし、本当に必要と考えるならば声を上げるべきと、百貨店協会や各社の社長に問題提起書を発信し、直接話をしにも行きました。

昔、デパートは、1週間に1日は休みでしたが、ご存知のとおり定休日がなくなりました。

■直営店で休業日設ける

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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