[書評:ブルーアースカレッジ]地球の有限性を無視した経済活動は成り立たない

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今年9月に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」。主に貧困解消を目的とする従来の「MDGs(ミレニアム開発目標)」を引き継ぎ、新たに気候変動や格差問題など、MDGsでは扱えない地球規模の課題についても解決をめざす。『ブルーアースカレッジ ようこそ、「地球経済大学」へ。』(東京都市大学環境学部編、東急エージェンシー刊 税込2700円)は、持続可能な社会における経営の在り方を巡り、多くの示唆に富む。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■経済に求められる「倫理」とは

『ブルーアースカレッジ ようこそ、「地球経済大学」へ。』(東急エージェンシー刊)表

『ブルーアースカレッジ ようこそ、「地球経済大学」へ。』(東急エージェンシー刊)表

本書は、東京都市大学が2014年6月から3か月間、計13回にわたり開いた「渋谷カフェ」での講義を収録したものだ。持続可能な社会の実現と企業経営を主なテーマに、環境問題の各分野で活躍する第一人者が登壇した。

近年の気候変動で、気温上昇や高潮の発生増加が人間活動の影響であることは、IPCC報告書の最新版でも「ほぼ確実」とされる。

世界のCO2の年間排出量は2014年に初めて横ばいになった。しかし温暖化対策で「効果が表れるのは、2050年あたりから」(第1講、33頁)とみられ、少なくとも今後しばらくは温暖化の進展が避けられなさそうだ。
 
気候変動対策を経済的コストの上昇にともなうリスクとみるか、新たな商機の到来とみるか。いずれにしても企業経営は、気候変動と向き合わざるを得ない。
 
また、環境倫理学(第9講)の視点から現状を見ると、市場経済は地球の有限性を考慮せず、政治は現在の世代の利益しか代表しない。また法律は人格だけを対象とし、そこに他の生物種は含まれない。「社会体制そのものの構造的な欠陥と、環境問題の深刻化は結び付いている」(296頁)との指摘は真っ当だ。
 
こうした認識に立つことで、社会の各セクターが、持続可能な経営の実現を「自分事」として考えることができよう。本書には「幸せな経済のかたち」(第11講)、「経済、社会、環境の『三方よし』の社会へ」(第12講)など、多くのヒントや事例が収録されている。

2015年11月13日(金)16:20

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