3種の白鷺、ダイサギ・チュウサギ・コサギ――私たちに身近な生物多様性(16)[坂本 優]

ダイサギ、チュウサギ、コサギとも、いずれも全身の羽毛が真っ白で脚が黒い。ただし、コサギは脚先の指にあたる部分が黄色い。この部分は、裏も黄色で飛び去るときにもよく目立つ。また、ダイサギとチュウサギの嘴は、黄色っぽいが、コサギの嘴は黒いなど、コサギは白鷺の中でも比較的区別しやすい。

よく目立つコサギの「黄色い指」
よく目立つコサギの「黄色い指」

ダイサギとチュウサギは、並んでいると大きさが明らかに違うが、全身の白い羽毛の他、「爪先」まで黒い脚、黄色い嘴など全体のイメージは大変よく似ている。遠くに単独でいる場合などで、大きさの比較ができないときは、正直、見分けづらい。

一応、ダイサギに比べてチュウサギは頭部が丸みを帯びていて嘴がやや短い、ダイサギは「目じり」(口角の切れ込み)がチュウサギより切れ長、といった特徴が挙げられる。ただし、いずれも見る角度によって同一個体でも違ったようにも見えるから注意が必要だ。

ダイサギやチュウサギの脚)は、「爪先」まで黒い(写真はダイサギ)
ダイサギやチュウサギの脚)は、「爪先」まで黒い(写真はダイサギ)

サギ類は、よく同じ場所に集まる。東京港野鳥公園で1年中観察できる灰色のサギ、アオサギは、比較的観察、識別しやすいサギだが、ダイサギと似たような大きさだ。従って、近くにアオサギがいれば、アオサギとの比較で、遠くからでもダイサギか、チュウサギかを推定できる。カモなど、よく見かける他の野鳥との比較でも大きさの見当をつけることは可能だ。もちろん、野鳥観察の目的は種を特定することではない。目的や楽しみ方は人それぞれ。白いサギは「白鷺」とくくって何の問題もない。

sakamoto_masaru

坂本 優(生きものコラムニスト/環境NGO代表)

1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(2011年以降、バルディーズ研究会議長。趣味ラグビー シニアラグビーチーム「不惑倶楽部」の黄色パンツ (数え歳70代チーム)にて現役続行中)

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..