[書評:「悩み」と向き合える女性は、うまくいく]泥だらけの女性起業家が見つけたCSRとは

子どもを持つ女性が活躍しにくい社会、在日コリアンへの偏見が残る日本という国で、涙でグシャグシャになりながら見いだしたもの。そのエッセンスを、彼女は分かりやすく太字で記している。中に、こんな一文があった「野心は、自分の力を世に証明したい、という感情」「志は『社会』に向かっている感情」。

納得いかない社会に怒りをぶつけるように起業したものの、やがて、転んで泥だらけになった自分を支えてくれる人がいることに気づく。夫はもちろん、会社のスタッフ、同じネットショップ起業家、何よりリトルムーンを愛してくれる顧客たちだ。

周囲への「ありがとう」を実感したとき、彼女は「社会に何を返していけるか」を考え始める。

そしてスタートさせたのが、使わなくなったヘアアクセサリーを顧客から寄贈してもらい、途上国の女の子たちに届けるCSR活動だ。「可愛くなれて嬉しい、という女の子の気持ちは、世界共通!」という一文に、誰かのお役に立てたという彼女の喜びがにじみ出る。

この活動はやがて、寄贈されたヘアアクセサリーをカンボジアの起業家に委託販売してもらい、現地に雇用を生み出すという取り組みにつながった。リトルムーンは2013年楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤーCSR賞を受賞している。

本書の前半には、上記のような七転八倒の人生の物語がつづられている。一方後半は、それを踏まえての「女性として、母として、仕事や子育ての悩みとどう向き合うか」が語られている。

「好きなことを仕事にするなんて甘いのでは」「子育てと仕事の両立なんて本当にできるのか」と思い、一歩を踏み出せないでいる人にとっては、「背中を押してくれる一冊」になるかもしれない。

◆『「悩み」と向き合える女性は、うまくいく』(文美月)

http://www.amazon.co.jp/dp/4046004339

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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