その上で、ユンク博士は「この話が指し示しているのは、企業が意志を持っている時には、計り知れない力と企業が改善する能力を発揮できるということである」と述べ、企業が存続していくための、企業のモラルと法的義務を遂行する側面とともに企業の恩恵の側面についても継続して伝えていくことを強調した。
そして、「全ての国家がビジネスと人権に関する国家行動計画を導入すること」「ビジネスと人権に関する指導原則のより多くの普及」、そして「救済へのアクセスの取り組みの強化」について促した。
この第4回国連ビジネスと人権フォーラムの印象としては、引き続き企業による人権侵害が行われている実態があり、さらに現代における奴隷労働の問題もクローズアップされ、企業が自社のサプライチェーン上の人権問題について確認がより求められる状況となっていることが感じられた。
企業に関わる人権は、多くの問題が発生しており、日本企業も例外ではない。現段階では、企業内部では、人事、CSR部門、調達部門がそれぞれの仕事の中で人権課題に対応していると思うが、それぞれの部門が共通認識を持ち、より密接に行動することが求められている。
このフォーラムは、登録制だが誰でもが参加できる。次回2016年のフォーラムは2016年11月14日~16日に開催される。国家、企業、市民社会それぞれの立場から、指導原則に関する情報収集の場として、また取り組みや意見を発する場として是非次回は足を運び、世界のビジネスに関わる人権の議論に加わり、今後の実践にさらにつなげる機会としていただければと思っている。