CSRとブランド作りで日立など企業担当者が議論

UBS証券の堀氏は「サステナビリティを追求することは当社の存在価値そのもの」と話した。「ビジネスのあらゆる側面にサステナビリティが求められ、グローバル企業ではその動きがすでに主流になった」と説明した。

堀氏は社内を革新するため、社員にボランティアの参加を呼びかけた。同社のSCSR活動のテーマは、「長期的かつ社員が地域に入りこむこと」。聴覚障がい児向けにプログラミングを教えるボランティアなど75のプログラムがある。65%の社員がボランティアに参加している。

聴覚障がい児向けのプログラミング教室では、社員がまず子どもから手話を教わった。「一方的に教えるだけではなく、お互いがパートナーとなって交流し、地域の子どもを元気にした」(堀氏)

森氏はCSRのブランディングについて、「インナー向けが大切」とし、PRの意味ではなく、社員の意識変革を通して、ブランドになっていくと話した。

中越パルプ工業は年間80万トンの紙を生産する製紙会社。日本の製紙メーカーでは唯一、国産竹から紙をつくっている。工場を置く地域のタケノコ農家から、竹林整備で出た大量の竹を「なんとかしてくれないか」と頼まれたことがきっかけでこの取り組みを始めた。1998年から生産を始め、今では年間2万トンの竹を紙に活用している。

西村氏は「当社には、CSR部も広報部もない。私自身が意義を感じて発信しているが、サステナビリティが企業のブランディングにつながるのか、まだ正直分からない」と話した。

しかし、「巻き込むことが下手だから苦戦しているが、社外に発信し続けていけば、そのうち会社全体も変わっていくと思っている」(西村氏)。

中越パルプ工業は竹紙の取り組みで、「エコプロダクツ大賞」農林水産大臣賞など数多く受賞、竹紙でつくったカレンダーは「全国カレンダー展」で毎年受賞をしている。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..