[CSR48] 女性活躍推進から考えるワークスタイル

■100人いれば 100通りの人事制度があってよい

サイボウズのワークスタイルのキーワードは、「自立」と「多様性」である。100人いれば100通りの人事制度があってよい、というのが同社の方針だ。超高齢化社会を迎えるにあたり、男女問わず、仕事中心に働くことができる時期と、育児や介護など自分のペースで働く必要がある時期とがある。誰もがそれぞれの、そのときの自分にあったペースで長く働けるようにする仕組みが必要だろう。

 

同社では、自分で働き方を選べる制度と人事評価がある。具体的には、以下のようなメニューがある。

 

・働き方の選択(残業ありかなしか、短時間勤務、週3日勤務など)

・働く場所と時間の選択

・社内相対評価から「社外相対評価(市場性)+社内絶対評価」へ

・最大6年の育児休暇

・いったん退社しても再入社できる「育自分」休暇

 

ただし、自由を選択するには成果も求められ、給与も成果と連動する。働き方の自由を選択するには、成果への責任を果たすことが求められる。「休むという権利を得るためには、自分で仕事のやり方を工夫して効率を上げて成果を出すよう自立しないといけない」と野水氏は説明する。

 

■ワークスタイル変革におけるマネージャーの役割とは

ワークスタイル変革は制度やツールを整えるだけでは浸透しない。変革を受け入れる社内風土を醸成することが最も重要であり、難しい課題でもある。社内風土を変えるには、まずは経営者やマネージャーの意識改革が必要だが、もともと多様な社員を抱える同社にとってはマネジメントの負担が増えるということにもなる。一方で、多様な自立した社員がいることが組織の付加価値を生み、企業の成長戦略につながると同社は考えており、それが社員を勇気づけているのではないだろうか。

 

必ずしも今、すべての社員に出番がある必要はないが、時代が変化することで自然と多様な社員の出番が増えてくると考えられないか。「マネージャーにとっては、多様性を認めることと部門の目標を達成するという目的を一致させることが最も難しい。マネージャー合宿ではこのテーマに集中して議論する。努力しないマネージャーはすぐに交代させられるので、次第に意識も変わっていく」と野水氏は強調する。

 

女性活用というと、女性の管理職の比率を増やすというようなテーマで議論されることが多いが、同社は女性の管理職比率は低いそうだ。その背景には、社内で子育てをしやすい施策を推進すると、自然と女性の管理職比率が減るからだという。

 

質疑応答では、「女性の活用という施策に違和感を感じていたがその理由がわかった」という声や、「女性の活用について、何をもって『公平』かと考えさせられる内容だった」など、女性だけでなく男性からも共感の声が相次ぎ、新たな視点が投げかけられたセミナーとなった。

 

「CSR48」は、企業のCSR担当者を中心に「CSRに関心のある女子たち」が集まったグループ。「CSRをもっと身近に」をミッションに、勉強会やイベントを実施する。⽬指すのはサステナブルな社会と、女性のエンパワーメントによって、利害や⽴場を超えて、より良い社会に向けたアクションをおこすこと。メンバーの所属は、商社、メーカー、ゼネコン、NPO法人などさまざま。 雑誌オルタナの連載の他、イベント登壇や4月はじまりのSDGsカレンダー発売など多彩に活動を広げる。オフィシャルブログ 執筆記事一覧

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