有機農業と子どもたちの未来

日本の農業を育てるために

――実は日本は、世界的にも農薬の使用率が高いとも聞きますね。

武内さん:世界で3番目に高いですね。1位が中国、2位が韓国、3位が日本です。数年前は日本が1位でした。国産野菜というだけで安全ということはないですね。安全・安心が大切と言いながら国内ではなかなか有機農業を志向しません。それは海外と違い、国に明確な安全な農産物という考え方がなかったからなのですが、国内隅々まで有機農産物の意味が浸透すれば、おのずと海外のようなマーケットになると思います。

――昨年4月にこちらの農園「シェアガーデン」をオープンされました。レストランや小売店などに対して有機農作物の栽培スペースを貸し出していらっしゃるそうですね。コンセプトは「すべての人に農業ができるシステムと場を提供する」ですが、もう少し詳しく教えてください。

徳江さん:農業が日本で健全に育っていくために必要なものは3つあります。買ってくださる人、買う仕組み、そしてつくる人です。

有機農業をやりたいと思っている人は沢山います。企業からもそういう声を聞きます。でも農地の選び方やどんな設備が必要か、どんな人材が必要か、できたものをどう出荷し、どう売るかといった問題があります。

5b398eeaa9d4e5cbd78497cfa5d68afdそこで、みんなができるだけ上手くいくような方法で、参入が簡単な仕組みはないかと考え、シェアガーデンを始めました。シェアというのは畑の共有、知識の共有、設備やインフラの共有、売り場の共有(確保)という意味があります。レストランや小売店だけでなく、個人消費者とパートナーになることが可能です。

武内さん:オーガニックレストラン認証第一号を取得し、都内などに6つの店舗を持つイタリアンレストランの会社が、シェアガーデンを利用してくださっていますが、シェフたちが自ら収穫に来ることもあります。ここでつくった野菜を店舗で使用しているのですが、どんな野菜を育てるかはこちらから提案したりしています。長らく外食産業で働いてきた経験が役に立っています。

――地方のこうした耕作放棄地を借りるこの取り組みは、日本農業の活性化と同時に地域の自然環境の向上にも貢献できますね。

シェアガーデンを通して、日本の未来をつくる

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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