100%自然エネルギーで2050年までに脱炭素社会へ

パリ協定「長期戦略」への提言

本シナリオの検討には、いくつかの前提条件が設定されています。つまり、前提条件を達成すれば「100%自然エネルギーシナリオ」の実現が可能であると言えます。本報告書では、それらを踏まえ、2050年の脱炭素社会実現に向けて達成すべき代表的事項として、以下を提言しています(詳細は概要版を参照)。

●省エネルギー
・住宅や建築物の省エネルギー化の加速
・産業の効率化(2050年までに2~3割の効率改善や鉄のリサイクル促進)
・電気自動車(EV)と燃料電池自動車(FCV)のより急速な普及
●自然エネルギー
・電力系統運用の改革を通じて自然エネルギーを優先的に活用
・2030年頃を見据えての水素インフラの整備素インフラの整備
・バイオマス熱利用の拡大
●化石燃料・原子力発電の段階的廃止
・カーボン・プライシングの導入
・電力部門の先行的脱炭素化
・原発の原則30年廃止方針の明確化

現在、「長期戦略」の議論は、環境省(長期低炭素ビジョン小委員会)と経済産業省(長期地球温暖化対策プラットフォーム)の2つの場で進められています。2017年3月末にはそれぞれが最終案を出し、その後、国の「長期戦略」として完成される予定です。

WWFジャパンでは、この政府の長期戦略の策定を促すとともに、実効性ある長期戦略がパリ協定に提出されるよう、今後、具体的な提言活動を展開していきます。2050年まであと33年。今、政府が明確な方向性を示せば、化石燃料に頼らない脱炭素の未来は実現可能であると、本報告書は明示しています。

地球温暖化対策としてのシナリオの実現を!

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #パリ協定#脱炭素

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