「近々、目標を設定するとして約束した221社のうち、日本からはNTTドコモや花王、大成建設、ダイキン工業、大日本印刷、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどが名乗りを挙げている」(日経ビジネス)。
だが、SBTに参加しようという日本企業は、まだ50社程度に過ぎない。日本の上場企業約3500社のうち、2%以下だ。SBTの目標設定をするためには厳しい基準をクリアしなければならず、時間もコストも掛かる。日本の大半の企業においては、そのハードルは高い。
日本の急速な「石炭火力発電シフト」も、環境保護団体からの批判が大きい。環境団体「石炭発電所新設ウォッチ」によると、2012年以降の建設計画は46件、設備容量は合計 2302万kWに達した。
「石炭火発は高効率のものでもLNG火発の2倍のCO2を排出する。環境省は3月末、このまま新増設が続けばCO2排出量が増加し、日本の温室効果ガス削減目標の達成が危ういことを明らかにした」(しんぶん赤旗)。
ところで、米国では、ニューヨーク州やカリフォルニア州など9州や125都市などが共同で6月5日、「連邦政府に代わって米国の温室効果ガス削減の責任を果たす」とする声明を国連に提出するという動きがあった。
朝日新聞によると、「We Are Still In(私たちはまだパリ協定にいる)」と題した声明には、ニューヨークやカリフォルニアなどの9州や全米125都市に加え、902の企業・投資家、183の大学が署名。企業では、アップル、グーグル、ナイキなどが名を連ねた。
もし日本の政権が気候変動や環境保全に消極的な態度に転じたら、日本の自治体や企業は、政府に反旗を翻して、意志を貫くことができるだろうか。今はやりの「忖度」(そんたく)の精神を発揮して、王道を外れてしまわないだろうか。この点でも、甚だ不安である。