パリ協定だけではない、トランプ政権の「ぶち壊し」

粟野 美佳子
一般社団法人SusCon代表理事
このエントリーをはてなブックマークに追加

今月は、トランプ大統領のパリ協定脱退宣言が世界の耳目を集めたが、相前後して看過できない動きが米国で起きていたことにお気づきだろうか?テーマは、ここ最近日本でもよく耳にするようになったESG投資である。(一般社団法人SusCon代表理事=粟野 美佳子)

シェブロン社株主総会での抗議活動 (C)Rainforest Action Network

トランプ大統領の声明の前日、米国のNGO「Ceres」*が、快哉の声を上げた。因縁のエクソンモービル社で、気候変動が事業に与える影響を開示せよとの株主提案が、初めて過半数の支持を得たのである。これまでも提案はされてきたが、支持は四分の一止まりだった。

しかし今年は、ESG投資を重視する運用機関が賛成に回り、環境課題が投資判断材料として重要であることを投資家も明確に示したのだ。

*アラスカ湾でエクソンモービル社のタンカー「バルディース号」が起こした油流出事件をきっかけに誕生した

だがその一週間後Ceresは、歓喜とは真逆の抗議のプレスリリースを出す憂き目にあう。共和党が出したある法案が米国下院を通過したからだ。その法案の名前は「金融選択法案」。日本でもトランプ政権の金融規制改革として報道されているものである。

紛争鉱物に関する情報開示義務を定めたドッド・フランク法の廃止、と受け止めている方もいるだろう。だがこの法案、その程度では済まない。わずか1ページながら、ESG投資の手を縛りあげるような内容を含んでいるのである。

内容は極めて簡単だ。株主提案資格の金額条件を廃止し、保有期間も長くする、ただそれだけのことだ*。これが具体的には何を意味するかを、アップルで見てみよう。現在はアップルの株式を2000ドル分、一年間保有していれば、例えば中国の工場における労働環境改善について株主提案が可能だ。

ページ: 1 2

粟野 美佳子
一般社団法人SusCon代表理事
早稲田大学大学院政治学研究科修了(国際政治専攻)。1990年よりWWFジャパン職員。パンダマークのライセンス事業や、企業とのパートナーシップ業務に従事。2009年7月より自然保護部門に移り、ビジネスと生物多様性問題及びREDD(途上国における森林減少・劣化からの排出の削減)プログラムを担当。2016年にWWFを辞して一般社団法人SusConを設立。環境省の「環境報告書の記載事項等の手引き第3版」の検討委員を務める等、情報開示関連活動も多い。

2017年6月29日(木)17:28

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑