WWF「企業の温暖化対策ランキング」第4弾を発表

小売業・卸売業界の上位企業

このランキングでは、温暖化対策の「目標」を設定しているか、そしてその実績を評価・分析しているかの『1.目標および実績』と、取り組みの状況や進捗が分かるような情報開示を行なっているかの『2.情報開示』という2つのカテゴリーについて、21の指標を設け、評価を行なっています。温暖化対策としての実効性を重視している点が大きな特徴です。

その中でも特に重要な指標は次の7つです。

重要7指標

  • 長期的なビジョン
  • 削減量の単位
  • 省エネルギー目標
  • 再生可能エネルギー目標
  • 総量削減目標の難易度
  • ライフサイクル全体での排出量把握・開示
  • 第3者による評価

第1位のイオンは、「ライフサイクル全体での排出量把握・開示」、「第3者による評価」の2つの指標で満点を獲得。WWFが重視するライフサイクル全体での排出量の見える化や第3者検証による信頼性向上などの項目において点数を積み上げました。

しかし、その他の指標については、「削減量の単位」や「省エネルギー目標」の有無などでいくらか平均スコアを上回ってはいるものの、他社を引き離すほどのスコアを獲得できていません。

また、過去の3業種においては、1位の企業はいずれも80点以上の高スコアを獲得していたのに対し、今回は1位のイオンも60点台前半にとどまる結果となりました。
第2位のローソンは、『2.情報開示』のカテゴリー(満点=50点)において45.8点という高スコアを獲得。しかし、『1.目標および実績』においては、スコアを伸ばすことができませんでした。

上位5社のレーダーチャートの傾向としては、全30社の平均と類似の形状となり、業界全体で同じ課題を抱えているのが分かりました。

小売業・卸売業の平均点は、34.1点となり、過去の3業種(電気機器48.7点、輸送用機器46.7点、食料品44.8点)を大きく下回っています。

残念なことに、長期目標(ビジョン)を掲げている企業が1社もなく、総量および原単位の両方で排出削減目標を掲げる企業も1社もありませんでした。再生可能エネルギー導入の定量的な目標を立てている企業もかろうじて1社あるのみとなりました。

一方で、自社の排出量データに対し、第3者機関による保証を受けている企業の割合が33%(30社中10社)でした。過去の業種では、『電気機器』編は17%、『輸送用機器』編は16%、『食料品』編は8%であったことから、本業界において、第3者検証を受け、温室効果ガスの排出量データの信頼性を高める取り組みが進んでいることが明らかになりました。

長期ビジョンの不在と低スコア

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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