NGOのキャンペーンは「組織犯罪」か

粟野 美佳子
一般社団法人SusCon代表理事
このエントリーをはてなブックマークに追加

最初にお断りしておく。これは米国で起きていることで、日本ではない。しかし、これを対岸の火事と言い切れるか、そしてもし同じようなことが日本で起きたらどうなるか。可能性は低いとしても、問題提起としてご紹介したい。(一般社団法人SusCon代表理事=粟野 美佳子)

成り行きを簡単に説明する。

1)カナダの針葉樹林が紙パルプ用に伐採されている問題について、長年北米のグリーンピースや他の環境保護団体が取り上げてきた。
2)槍玉にあげられてきた林業会社のResolute Forest Products社は、営業妨害として2013年にカナダでグリーンピースなどを相手に民事訴訟を起こした。
3)2016年5月に、Resolute社は、USのRICO法という組織犯罪を扱う刑事法に基づいた刑事訴訟を米国でも起こした。
4)今年6月、この訴訟に対して言論の自由への脅威と危惧する作家たちの声明を、グリーンピースが米国書籍見本市で出版社に渡し、Resolute社へ圧力をかけるよう要請した。

5)これを受けて大手出版社のHachette Livreは、特に今のトランプ政権の振る舞いから、RICO法が環境団体の口封じに悪用されかねないことに懸念を表明し、Resolute社へ要望を出した。

私は法律の専門家ではないので、このRICO法の詳細を把握しているわけではないが、元々はマフィアのような犯罪組織を取り締まるものだったと言う。これをNGOに持ち出すというのは、前回のコラムで嘆いた総会屋呼ばわりと相通じる。

米国のような訴訟社会ではない日本では、ここまでの泥仕合にはならないだろう。だが同時に、周囲の応援や反応も、ここまで期待できないのではないか。そう思う理由は3つある。

ページ: 1 2

粟野 美佳子
一般社団法人SusCon代表理事
早稲田大学大学院政治学研究科修了(国際政治専攻)。1990年よりWWFジャパン職員。パンダマークのライセンス事業や、企業とのパートナーシップ業務に従事。2009年7月より自然保護部門に移り、ビジネスと生物多様性問題及びREDD(途上国における森林減少・劣化からの排出の削減)プログラムを担当。2016年にWWFを辞して一般社団法人SusConを設立。環境省の「環境報告書の記載事項等の手引き第3版」の検討委員を務める等、情報開示関連活動も多い。

2017年8月16日(水)14:28

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑