サッカーが環境対策をアシスト
その象徴が「バイオエタノール」である。日本ではにわかに信じがたいが、ガソリンとエタノールの両方で走る「フレックス車」の新車販売台数は全体の9割に達した。ガソリンへのエタノール5%混合は1930年代から義務付けられた。
ブラジル北部では気温上昇により75%の水源が失われるとされ、砂漠化なども懸念されているが、その主な原因になるとされているのが森林火災だ。
ブラジルではその森林への火入れの様子が衛星を通してリアルタイムで分かるサイトを開設している。またアマゾンの環境破壊を防ぐべく衛星監視システムを取り入れているのも画期的だ。
そして近年、二酸化炭素市場への各企業への取り組みも活発化している。そのほかにも、サトウキビから製造するプラスティックや、トウモロコシから作るビニール袋などの研究の促進などがある。
そしてサンパウロのソーラーシステム設置の義務化や、グリーンスーパーなどの人気も高まっており、環境保護の意識は市民の中で高まっている。
アマゾンを守ろうとする国や自治体を挙げての環境政策を、「国技」であるサッカーが最大限のアシストをする。取材を通じて、そんな構図が浮かび上がってきた。
ブラジルをサッカーだけの国だと思っていたらとんでもない。行政、企業、市民レベルでの環境意識とも日本をはるかにしのいでいる。(リオデジャネイロ・高橋直子)