■法律家のプロボノは米国では当たり前
難民認定申請数と認定数
出典: 法務省「難民認定申請数の推移」「我が国における難民庇護の状況等」(2017年3月発表)を基に編集部で作成
この数字は、実は驚異的な数字だ。日本では2016年に1万901人が難民申請を行ったが、認定者数はたった28人だ。
それほど日本での難民認定が難しい背景には、制度の問題や言葉の壁もあるが、難民申請のサポート体制が少ないこともある。
「米国の法律事務所ではプロボノは当たり前で、難民申請支援でのプロボノもごく一般的なものだった。日本では本人が自力で申請していることに驚いた。もっと多くの支援があれば、難民認定を受けられる人が増えるだろう」
こう話すのはGS法務部の中井綾シニア・カウンセル(弁護士)だ。約8年前、ニューヨークの法律事務所で働いていたときに、初めて難民申請を手掛けた。
アフリカ出身のアルビノ(先天性白皮症)の男性で、祖国では命の危険があるため、何とか米国に逃れてきた。アフリカの一部地域ではアルビノに特別な魔術が宿っていると信じられ、殺害されて遺体が高値で売買される危険があるという。
「21世紀に入り、いまだにこうしたことが起きている事実に衝撃を受けた。一方、弁護士の原点として、目の前にいる人を助けられるという喜びは大きい」(中井弁護士)
GS法務部の藤田部長は「法律の専門家として何か社会に貢献したいという思いを持っていた。難民の多様なバックグラウンドは、視野を広げてくれる」と話す。
「人権団体の報告書のデータを集める、英語のインタビュー内容を翻訳するなど、弁護士でなくてもできる支援がある。興味があれば、まずは第一歩を踏み出してほしい」と訴えた。
■難民申請中でも働ける