今となっては虚しく響く神戸製鋼所の「6つの誓い」

コンプライアンスには3つの領域がある。第1に関係法令の遵守。第2に社内規則、業務マニュアルなど社内規範の遵守。そして第3の領域として、「社会の常識・良識などの『社会規範の遵守』に配慮し、ステークホルダーや社会からの要請に対応することである」([新]CSR検定3級公式テキスト第1章の5「コンプライアンスの本質」から引用)。

「KOBELCOの6つの誓い」でも、コンプライアンスの3領域に言及していた。さらには、ステークホルダーとの関係性についても「私たちは、顧客、取引先、社員、株主等を含む幅広いステークホルダーを仲間として尊重し、健全かつ良好な関係を築きます」と強調していた。

神戸製鋼の経営陣もその重要性を認識し、だからこそ、「KOBELCOの約束」を社内外に公表したのだろう。これより1年ほど前に、「品質検査データの改ざん問題」が経営陣には報告されており、品質検査データ改ざん問題を公表することを前提に、「KOBELCOの約束」を策定した可能性も考えられる。

「KOBELCOの約束」とは、「CSRビジョン」の一種とみることができる。その浸透には時間が掛かり、いずれにしても40年前からの悪弊を完全に絶ち切ることは難しい。それにしても、もう少し早くCSRビジョンが徹底されていれば、少しでも傷を浅くすることは不可能ではなかっただろう。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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