例えば、「目標7:すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」。この文脈では、自然エネルギーの迅速で大規模な導入を各社に求めているのは明らかです。
そんな中で、CSR担当者は自然エネルギーへの切り替えを提案するものの、自社の調達や経理などの部署が一層のコストダウンを求めたり、あるいは大手電力会社が独占法禁止法で禁止する不当廉売ギリギリの価格を提示し、自然エネルギーの導入を断念させたりという話をよく聞きます。
「目標15:陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、(後略)」。ここでは生態系の保全に配慮した木材や紙の調達が大きなテーマになっています。
しかし残念ながら、FSC(森林管理協議会)など認証材のシェアはまだ日本では低迷しています。ある大手格安家具チェーンの執行役員は「間伐材や国産材はコストが合わない。ウチが導入する可能性は皆無だ」と堂々と話していました。
このような事例には枚挙に暇がありません。今後、日本企業は、SDGsの趣旨をよく理解し、社会課題の解決のための自社事業を変革していかなければならないのです。
そして、国連のメッセージは「アウトサイド・イン」に象徴されるように、「社会課題解決のためにビジネスの力を使ってほしい、儲けて頂いて構いません」と解釈できるのです。