メディアとGPIFとセクハラ

粟野 美佳子
一般社団法人SusCon代表理事
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連日絶えることなく報道されるセクハラ問題をこのコラムで取り上げるか、最初は躊躇した。SusConが通常取り組んでいるサステナビリティ課題とは直結しないと思っていたからだ。しかし、今の日本のESG投資を牽引しているGPIFの発言から、これはESG投資とも無縁ではないと気づき、以前からの抱えていた問題意識と合わせ、述べさせていただきたい。(一般社団法人SusCon代表理事=粟野 美佳子)

先日東京証券取引所で「RIアジア」という国際会議が開催された。責任ある投資をテーマとしたこの会議は毎年開かれているが、今年はGPIF水野理事がインタビュー形式のセッションに登場。

その中で、GPIFが女性活躍をインデックスとして導入したことに絡んで、日本で短期的に実現可能な多様性は、女性活躍(正しくはジェンダーの多様性)だけだろうとの見解を披歴された。

確かに経営の意思決定における多様性は重要だし、実現可能性についても異論はない。ESG三要素の中で、S(社会)に対する理解が日本では特に遅れている現状を踏まえれば、GPIFの女性活躍インデックス採用の意義も大きい。

しかし、セクハラに対する認識力が組織の上層部でも現状のようでは、正直なところ暗澹たる気持ちになる。役員に登用されるまでのキャリアの中で、セクハラやパワハラを人知れず耐え忍び、さらには「君セクハラ受けるような人じゃないでしょ」と揶揄され(これも立派なセクハラであることすら気づかれていない)、しかし会社は女性活躍企業としてインデックスに採用される。

もし私がそんな企業の社員だったら、「インデックス採用企業を目指すことがそんなに大事?」とエンゲージメントの場で投資家に吠えていることだろう。

もう少し真面目に言えば、役員登用があるからと言って、その会社がセクハラフリーとは言えない。性質上数値化はおろか顕在化も稀だが、今回の騒動が示すように、いったん噴出すると組織評価に対するインパクトも相当大きい。

企業は官僚や議員よりもっと意識が進んでいるとのコメントも、一連の報道の中で見かけたが、私はこれも甚だ怪しいと思っている。なぜか。

財務省セクハラ問題が噴出する一か月ほど前、わが目を疑うような小見出しが日経ビジネスに出ていたのである。

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粟野 美佳子
一般社団法人SusCon代表理事
早稲田大学大学院政治学研究科修了(国際政治専攻)。1990年よりWWFジャパン職員。パンダマークのライセンス事業や、企業とのパートナーシップ業務に従事。2009年7月より自然保護部門に移り、ビジネスと生物多様性問題及びREDD(途上国における森林減少・劣化からの排出の削減)プログラムを担当。2016年にWWFを辞して一般社団法人SusConを設立。環境省の「環境報告書の記載事項等の手引き第3版」の検討委員を務める等、情報開示関連活動も多い。

2018年5月1日(火)16:20

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