「自分がやった方が早い」から抜け出す:「カイケツ」

■業務の細分化で振りやすく

業務の細分化を行うリテラシー・ラボの千葉さん(右奥)と細見講師

「教育と社会をつなぐ」をコンセプトに掲げるリテラシー・ラボ(東京・渋谷)は、「多様な考え方を理解する力」「主体的な考えを発信する力」「社会を創り上げる力」の向上を目指し、映像教育プロジェクトや公共政策コンサルティングなどを手掛けている。

代表理事の千葉偉才也さんは、団体を運営するにあたり、自身に業務が集中していることに課題を感じ、カイケツに参加した。千葉さんは、「業務全体の分担を最適化する」をテーマに、常駐職員やボランティアスタッフらと広報やプロジェクト運営などを分担していくことを目指す。

現状把握では、どの仕事にどのくらいの時間をかけているのか、明らかにしていった。そのうえで、どの業務を役割分担できそうか検討していく。

ポイントはできるだけ「作業ベース」で考えること。例えば、「イベント参加者を募る」という仕事も、「案内文を作成する」「フライヤーを作る」「配る」などの工程に分けられる。

細見講師は「忙しいと思うが、どんな作業にどのくらい時間をかけているのか、まず間隔をつかむことが大切。作業内容が抽象的だと、まわりも何を手伝って良いか分からない」と説明する。

千葉さんは「つい『自分でやった方が早い』と考えてしまい、一人で抱え込んでいた。『阿吽の呼吸』に頼っていたところもある。抽象的にとらえていた仕事を細分化することで、業務分担するイメージがつかめてきた」と手応えを語る。

千葉さん以外にも、特定のスタッフに業務が集中するという問題を抱える団体は多い。

細見講師は「社会がますます多様化するなかで、『阿吽の呼吸』は通用しなくなる。優秀な人材を確保したり、定着させたりするためにも、だれでもできるように業務を『標準化』して、『仕組み』にしていくことが必要」とアドバイスした。

■おむすびで地域の農業支える

むすびやを運営する大泉さん(左奥)と古谷講師

宮城・鳴子産「ゆきむすび」をおむすびにして販売する「むすびや」(宮城県大崎市)。鳴子温泉から車で15分ほどのところにある。

ゆきむすびは、寒い山間地でも育つコメの品種として開発された。もちもちした食感と、冷めてもおいしい味わいが特徴だ。

むすびやでは、コメの味をダイレクトに味わえる「塩むすび」のほか、地元のお母さん手作りの味噌漬けを刻んだ「味噌漬け混ぜ込み」、「玄米・昆布」、「季節の青菜」など、さまざまなにぎりたてのおむすびを販売する。

むすびやを運営する鳴子の米プロジェクト理事の大泉太由子さんは、地域から期待される一方で経営の悩みを抱える。

大泉さんは「『むすびや』を通じて、地域で農業を支える大切さを多くの人に知ってほしい。『むすびや』を黒字化して経営を安定させたい」と力を込める。

古谷講師は、「飲食店の黒字化だけなら、手立てはいくらでもある。『地域で農業を支える大切さを知らせたい』という目標に対し、どのような指標を持てるだろうか」と投げかけた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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