日本がメコン地域で気候変動対策

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外務省は9月30日、タイで実施予定の森林保全プログラムに9億円の無償資金協力を行うと発表した。途上国を対象とした気候変動対策であると同時に、昨年11月に日本とメコン地域諸国との首脳会議で打ち出された「緑あふれるメコン(グリーン・メコン)に向けた10年」イニシアティブに従い、実施されるものだ。経済成長をバックにメコン地域で影響力を増す中国とは異なり、日本は「環境」で存在感を示せるか。

今回の森林保全プログラムは、タイの森林資源のモニタリング能力の向上を通じて森林管理能力を強化し、地域住民による森林造成作業を支援するのが目的。資金はモニタリングに必要な衛星画像や、造林機材の調達などに使われるという。

こうした支援が求められる背景には、近年メコン地域で自然環境の劣化が顕著になってきたことが挙げられる。

昨年11月、総理官邸で開かれた首脳会議にはメコン地域からベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマーの5カ国の首相が参加。鳩山前首相が議長を務め、パートナーシップの確認や63項目からなる「日メコン行動計画63」などを明記した「東京宣言」がまとめられた。

この中でメコン地域へのODAの継続等とともに、環境と気候変動の分野に対する取組みとして盛り込まれたのがグリーン・メコン・イニシアティブだ。

7月にハノイで開催された第3回日メコン首脳会談で、日本はイニシアティブのコンセプトを示した。その中でメコン地域の現状について、急速な経済発展や貧困、さらには近年の気候変動などにより、森林の減少・劣化、都市での水や大気の汚染、生物多様性の損失、メコン川の水位低下などの問題が顕著に見られるとした上で「人間の安全保障に対する深刻な脅威」が生じていると分析する。

対策としてイニシアティブでは、メコン地域の環境や気候変動の問題を地域全体の課題として捉え、森林管理や水資源管理、都市環境対策などのアクションプランを策定し、ODAに加え民間の資金も活用しながらグリーン・メコンの実現を目指すとしている。

近年日本がメコン地域に積極的な背景には、メコン川の上流に位置し、同地域への経済進出も著しい中国の動きをけん制する狙いもあると見られる。過去にODAによるダム建設などの公共事業が同地域の環境破壊を招いたとの批判もある日本だが、今後は「環境」を対抗軸に存在感を示せるかが注目される。(オルタナ編集部=斉藤円華)2010年10月7日

2010年10月7日(木)11:15

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