「守られなかった約束」報告書では、韓国・インドネシアの複合企業コリンド・グループが新国立競技場など五輪関連施設向けに供給した輸入木材に焦点を当てた。この輸入木材が東京五輪の定めた持続可能性に適合せず、違法木材であった可能性が高いことを指摘した。
「ペリラス」報告書では、コリンド社の違法行為や人権侵害への関与に融資し、そこから利益を得ている銀行と投資家に責任があることを強調した。その中で、「三井住友フィナンシャルグループ、住友林業、王子ホールディングスがコリンド社の事業拡大に重要な役割を果たしてきた」と指摘した。
コリンド社への財務調査や海外ペーパーカンパニーの調査では「さらに多くの反倫理的行為や違法行為の事例が明らかになった」という。中にはシンガポールのペーパーカンパニーを通じて融資契約や財務諸表に関する虚偽の情報や、誤解を招く情報を提供したことも含まれている。
三井住友銀行は今年6月、石炭火力発電、パーム油、森林の3セクターについて融資方針を制定した。だが、RANのハナ・ハイネケン氏は「SMBCは東京2020ゴールドパートナーであるにもかかわらず、コリンドの子会社に融資しただけでなく、コリンド社の取引先の住友林業や合弁パートナーの王子ホールディングスの主な資金提供者でもある」としている。
さらに、東南アジアの熱帯林をリスクにさらしている企業への最大の資金提供者だ」と批判した。SMBCの融資方針についても「森林と人権をしっかり守るために強化されなければならず、顧客企業の事業だけでなく、そのサプライチェーンについても考慮に入れる必要がある」と警鐘を鳴らした。
報告書の調査結果は、NGOによって6月から11月にかけてコリンド社に提示された。これに対しコリンド社は「全ての法律および規制に完全に準拠して事業を行っている」と主張するにとどまった。報告書にはコリンド社のほか、他企業の回答も記載されている。