2019年は「SDGs経営」時代の幕開け

ESGとSDGsの関連性も理解が難しい点だ。これはマトリックスで整理するとわかりやすい。ESG対応項目を縦軸に、関連するSDGsの17目標を横軸に整理したマトリックスをつくってみる。

まず、ESGのE、S、G各項目の洗い出しを進める。ESGを世界標準であるISO26000の7つの中核主題やグローバルコンパクトに即して整理すると効率的だ。その上で、ESGの各項目はどのSDGsに貢献できるかをマトリックス表で整理する。直接関連するところは黒丸、間接的な貢献は白丸をつける。これを示したのが次の図表である。

笹谷マトリックスモデル

これは経済産業省「SDGs経営/ESG投資研究会」(座長:伊藤 邦雄 一橋大学大学院 経営管理研究科 特任教授)での事務局説明資料(2018年11月経済産業政策局産業資金課PDF22ページ)の抜粋である。同資料で「(3)ESGとSDGsの関係② ー笹谷秀光氏(伊藤園顧問)による相関整理ー」として「笹谷マトリックスモデル」が紹介された(昨年11月26日に第1回会合)。大変時機を得た研究会である。
http://www.meti.go.jp/shingikai/economy/sdgs_esg/001.html

今後、マトリックス表がESG/SDGsに関する議論に役立っていけば幸いだ。2018年版の統合報告などでこのマトリックスを採用して整理する企業が増えてきた。このESGとSDGsの体系化が最重要事項である。これがマテリアリティ選定という経営の重要事項の洗い出しにつながっていくからである。

■SDGs経営元年:2019年はグローバル・ショーケース

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笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

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