■主張は「市民主導の国民投票」に変化
12月15日、レピュブリック広場で出会った、ピカルディ地方から来た数人のグループから手渡されたのが、「市民主導の国民投票」のチラシだった。国から与えられた主題で投票するのではなく、市民が国民投票する主題を決めることを指す。
フランスの国民投票は、海外県の独立や自治について住民だけが投票できるものが多く、全国民が投票したのは、2005年のEU憲法条約批准の是非を問うたものが最後だった。
「黄色いベスト」が要求する国民投票は、政治家が公約を実行しているかどうかをチェックする機構だ。実行できていなければ国民投票で罷免したり、公約と異なる法律を作った場合はその法律を国民投票で無効にしたりすることができる。
1月20日の「女性の黄色いベスト」デモで会った、パリ近郊ヴァル・ドワーズ県のスポークスパーソン、レティシア・ドゥワロ氏(37)は「マクロン氏が廃止した富裕税復活も、市民主導の国民投票にかけることができる」と力説した。
さらに、衣食住の必需品の消費税を下げるかゼロにすること、高給取りの高級官僚や国会議員の給料を下げることも「黄色いベスト」デモを通じて主張していきたいという。
毎週土曜日のデモや、地方でよく行っているロータリー交差点占拠に加え、市や県単位で話し合いをするグループも増えてきた。
「黄色いベスト」は誰もが公平に発言できる、特にリーダーを決めない直接民主制を目指しているように見える。これまで社会運動をしたことのない人たちが、既存の政党にとらわれない、新しい形の運動を模索している。