緊急連載■バイオマス発電の限界と可能性(上)

■発電所建設目的は山の除染か?!

発電所に反対する民家の看板

建設計画を知った周辺住民は、関電工や県に幾度も発電所について説明を求めた。しかし、満足のいく回答は得られなかったという。燃料となる木材は主に県内調達であるとされているが、県内の森林は2011年の原子力発電所の事故により、広く放射性物質で汚染されている。

現地では、いまだに野生のタラノメやコシアブラは基準値を超える放射性セシウムが検出されるとして出荷制限されるほどだ。

そのような場所の木を燃やして、放射能は拡散しないだろうか。また、補助金により購入された脱水プレス機により木質チップが圧搾され、その際に水が出る。その水は適切に処理されるのだろうか。

さらに、この手の発電所の常として、表向きは地域材使用による森林保全が謳われるが、地域材のみでは原料が早晩回らなくなることは大いにありうる。そうなった場合に、どこからどういう素性のものが調達されてくるのか。いくつもの疑問が重なる。

地元住民からは「バイオマス発電という名目で放射能に汚染された木を処分することが目的ではないか」という懸念が出ている。バイオマス発電という名の山の除染作業ではないか、という疑念が膨らむ。

■提訴理由は「次世代のために自然を守ること」

環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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キーワード: #バイオマス発電

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