実は解決していなかったフロン問題(1)

(2)現在進行形の国が注力している「フロン問題」

国民の大多数は、上記の「特定フロン」対策の経緯から、「フロン問題はすでに解決している過去の問題である」と認識してしまいました。

しかし「特定フロン」に代わって使用されている「代替フロン」には、二酸化炭素の100倍から10000倍以上の温室効果を持つことが判明したのです。

現在問題となっているのは、この代替フロンの温室効果です。地球温暖化への対策が世界的な課題となる中、二酸化炭素よりも圧倒的な温室効果をもつ「代替フロン」の漏洩を減少させなければ、地球温暖化を抜本的に解決することができない、ということが明らかとなったのです。

この問題を解決するために、国は2016年、機器廃棄時におけるフロン回収率目標値を2020年に50%、2030年に70パーセントと設定しましたが、実際には現在も30パーセント台に低迷し、なかなか「代替フロン」の回収率はあがっていません。

そこで、このような状況を打破するため、冒頭で述べたとおり、国は、罰則を強化して実効性を上げるために、フロン排出抑制法を改正したのです。

kagawa_kiri

香川 希理

2006年明治大学法学部卒業、2009年立教大学大学院法務研究科卒業、同年司法試験合格、同年最高裁判所司法研修所入所、2010年弁護士登録(東京弁護士会)、2013年香川総合法律事務所設立、現在同事務所代表弁護士。企業法務(特にコンプライアンス関係、不動産関係)を専門とし、上場企業をはじめ多種多様な企業の顧問をしている。主な著書に「トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務」(学陽書房)などがある。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..