実は解決していなかったフロン問題(2)

(2)都道府県による立ち入り検査

各都道府県は、管理者に対する立入検査を実施し、法律に基づく取組が遵守されているか否かを確認することができます。環境省によると平成27年度の立入検査等の実施状況は、立入検査等実施件数が2,533件であり、内訳は第一種フロン類充塡回収業者:1,364件(約54%)、 第一種特定製品管理者:889件(約36%)、とのことです。

これまでは都道府県の立ち入り検査の結果、違反状態が見つかった場合であっても、罰則まで4段階(指導・助言、勧告、命令、罰則)の手続きを経る、いわゆる「間接罰」制度がとられていました。

しかし、2020年4月施行予定の改正フロン排出抑制法においては、一度の違反で罰則を与えることのできる「直接罰」制度が導入されます。したがって、都道府県の立ち入り検査の結果、悪質な違反状態がみつかれば、すぐに警察に告発され、書類送検される、ということも起こりうるのです。

よって、管理者の方々は、今後はより一層、フロン排出抑制法の定める各種義務を遵守する必要があります。

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香川 希理

2006年明治大学法学部卒業、2009年立教大学大学院法務研究科卒業、同年司法試験合格、同年最高裁判所司法研修所入所、2010年弁護士登録(東京弁護士会)、2013年香川総合法律事務所設立、現在同事務所代表弁護士。企業法務(特にコンプライアンス関係、不動産関係)を専門とし、上場企業をはじめ多種多様な企業の顧問をしている。主な著書に「トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務」(学陽書房)などがある。

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