論説コラムー廃棄物新時代、「処理」から「循環」へ

そして今、循環を前提とした社会を構築する時代の最先端を走っている。廃棄物処理業とは廃棄物を処理するのではなく廃棄物を活かし、つないで再度循環させるビジネスになっているのである。モノファクトリーは廃棄物の新たな使い方を創造するため2011年に新たに設立された会社だ。

群馬県・前橋のモノファクトリーとナカダイを訪問してみた。毎日トラックで50tの廃棄物が処理工場に持ち込まれるがリサイクル率は99・5%を誇る。まず目に飛び込んで来た未使用のシャンプー容器、サンプル用化粧溶液入れなどのプラスチック類。これは破砕してチップにしベンチや車止め、パレットに再生する。

特に廃棄量が多いメーカーには自社の社員を常駐させている。金属については鉄100%のものはH鋼に、種類が混ざっているものはトタン用に再生する。機械は鉄、アルミ、ステンレスに丁寧に分解、蛍光灯は水銀を取り出してリサイクルする。細かい、地味な作業が廃棄物の価値を高め、ビジネスにつながるのだ。

粗大ごみのコーナー。自転車はプレスしてトタン、木はバイオマス資源に。マテリアルとしてのリサイクルが困難な非塩素系廃プラスチック,古紙、木くずなどはRPF(Refuse Paper &Plastic Fuel)という高カロリーの固形燃料になるといった具合である。

これまで日本の廃棄物処理対策は場当たり的で後手後手に回ってきた。海洋プラスチックごみなどはその典型だろう。中国が2018年1月、大気汚染、土壌汚染を理由にプラごみの輸入を原則禁止した。

日本のいい加減な廃棄業者が一般ごみと分別しないまま買い取り、そのまま輸出するため現地、つまり、中国、フィリッピン、マレーシア、ベトナムなどで分別をやらせる。その過程で、使えないプラ廃棄や汚染水などが環境を汚染する。

日本でできない分別を現地にやらせているいい加減さだ。中国の強烈なしっぺ返しに関係者は大慌てだ。いま日本では行き場を失ったプラごみが国内をさまよっている。企業にも滞留している分も多い。

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原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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キーワード: #リサイクル

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