論説コラムーオシャレにお店の「食品ロス」をレスキュー

現在、TABETEは東京23区内、さいたま市、横浜市で300店舗と契約、食べ手の登録会員は16万人に達している。年齢別で見ると20-30歳から40代後半にかけてが中心と比較的若く、女性が7割近い。値付けは店側に任せているが通常2-3割引きとあって価格面でのメリットは好評だが、「(地球や社会のために)いいことしたいから」というSDGsを念頭に置いたTABETEファンが多いのが特徴だ。

ただし、課題もある。
①客がテイクアウトのため店まで取りにいく仕組みなので場所的な制約がある。自宅や職場に近ければいいが、そうでないと売れにくい
②ランチの時間帯とずれるなど食べ手のニーズとライムラグが生じる場合がある。ランチの残りは夕食の早い時間に売るなどの工夫が必要となる
③商品力に差がある。人気の食品は遠くからでも買いに来るが、そうでない場合、近くても売れない--などが指摘されている。

こうした仕組みは世界にどんどん広がっており、Co Cookingとしては、TABETEを今後、全国に広げていく方針で、まずは金沢市(石川県)に進出する。食品廃棄物はゴミになると燃やすコストも高いとあってフードロス問題に熱心な自治体も多いが、金沢市もそのひとつで、金沢市当局からCo Cookingへ働きかけがあったのだという。地方の場合、多少、距離があっても車利用が定着しておりテイクアウトしやすい環境にある。富士吉田市、浜松市(いずれも静岡県)も候補に挙がっているという。

川越社長は「TABETEをよりよく利用してもらうためにポイント制の導入など改善の余地はまだあると考えているが、この仕組みはおいしいものを安価で購入できるのは確かだが、あくまで基本はフードロス防止。食べ手は、食品や料理があまって困っているお店を助けるレスキューする人という意識を持ってもらえたらと思う」と話している。(完)

harada_katsuhiro

原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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