10月20日、東京スタジアムで行われた決勝トーナメント1回戦(準々決勝)でジャパンは強豪南アフリカの前に、ノートライで敗れた。前半を3-5の接戦で折り返すも、後半突き放され3-26で敗退した。勝利の時と異なり、ノーサイドの瞬間、私自身に涙はなかった。
試合時間の80分を過ぎ、あとワンプレーで試合終了となるタイミングで、南アフリカは更なるトライを挙げるべくボールを左右に振って容赦ない突進を繰り返した。
それはジャパンの力を認めるからこそと見て取れた。それを緊張の糸を切らすことなく守り切ったジャパンは、最後まで敬服すべき敗者だった。
戦い終えた両チームへの惜しみない拍手、戦い終えた戦士たちの柔らかな表情。愛児を肩車するリーチ主将の、ファンと家族、仲間たちへの感謝のこもった笑顔。それらの光景を見ているうちに私の涙腺はやはり崩れてしまった。感動をありがとう。
ジャパンの活躍は様々なルーツの選手たち一人ひとりの最大限の努力と、それらが一体となった組織力、総合力なしにはなし得なかった。もとより選手たちがワールドラグビーのルールにそって選出されていることは言うまでもない。
今回、日本代表として出場した外国籍あるいは帰化選手たちは、皆、日本で夢をかなえるべく、長年にわたって自らのラグビー人生をかけて努力し、日本ラグビーに貢献してきた。文字通り、ジャパンのかけがえのない仲間たちだ。彼らの力もあってこそ、日本ラグビーは世界を驚かす進化を遂げた。
そして、ファンや多くの人々が、様々なルーツの選手たちが「日本代表」として戦う姿に感動し受け入れ、応援していた。7つの国籍の選手たちがつくった「ONE TEAM」。それはラグビーを通じた、まさにダイバーシティの実践ではないか。
ワールドカップは準決勝、3位決定戦、決勝とまだまだ続く。私たちは世界最高レベルのラグビーを最後まで応援し堪能することで、この世界有数のスポーツの祭典の成功という、国際社会への貢献を成し遂げることができる。それはまた、ジャパンの選手・スタッフの健闘と努力に応え、活かすことでもある。