COP25前半:パリ協定 積み残されたルールの議論紛糾

■「市場メカニズム/非市場メカニズム」以外の論点

「市場メカニズムや非市場メカニズム(6条)」以外にも、パリ協定の「ルールブック」に関連して残っている議題がいくつかあり、今回のCOP25で話し合われています。

1つは、「損失と被害(loss and damage)に関するワルシャワ国際メカニズム」のレビューという議題です。これは、気候変動の影響が、適応対策できる範囲を超えて発生し、実際に「損失と被害」が発生してしまった時に、どのような対応を国際的に協力してできるのか、という課題です。

交渉が難しくなっているのは、この「メカニズム」の果たすべき機能の1つとして、資金支援を含めるかどうかについて、先進国と気候変動影響に脆弱な途上国の意見が対立しているためです。

もう1つは「共通タイムフレーム」と呼ばれる議題です。パリ協定の下で、各国は国別目標(NDC)と呼ばれる目標を掲げており、日本も「2030年までに温室効果ガス排出量を2013年と比較して26%削減する」という目標を掲げています。

「共通タイムフレーム」というのは、現行の各国の2030年目標の次、つまり、2031年以降の期間に関する国別目標(NDC)が、2035年までの目標となるのか、それとも2040年までの目標になるのかを決めるという議題です。

「共通の」目標年を定めるということ自体は決まっていますが、それを「5年」=2035年、「10年」=2040年にするのか、それとも、「5+5年」=2035年+2040年にするのかについて、各国の意見が対立しており、決まりません。

さらに「第2次定期レビュー」と呼ばれる議題もあります。これは、基本的に最新の科学をどのようにこの体制の中に取り入れていくのか、という課題です。

あまり知られていませんが、前回の第1次レビューの結果として、パリ協定の有名な長期目標である「2℃より充分に低く、1.5℃に抑える努力を追求する」という目標が作られました。

今回は特に、このレビューのもう1つの役割である、「長期目標への進展をレビューする」という部分について、気候変動枠組条約の下の全ての約束を対象として、(先進国からの)資金・技術・キャパシティビルディングなどの取り組みの不充分さを指摘したい一部の途上国と、それを避けたい先進国との間で議論が対立しています。

これらや他の議題について、本来は第1週内で大方の結論を得る予定でしたが、一部に合意ができない点が残っています。

「ルールブック」に関し、多くの論点の議題が話し合われている

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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