廃炉作業と無農薬綿畑:復興を巡る福島の今

■汚染水は100万トン超

東京電力福島第一原子力発電所(以下1F=「いちえふ」と略す)視察は、廃炉資料館見学の後、専用バスで20分離れた1F構内をバスから視察し、再び廃炉資料館へ戻る4時間のコースである。

廃炉資料館では、廃炉の進捗状況、処理水の保管状況のビデオ上映、全景や1~4号機の模型、撮影に成功した2号機デブリ(溶け落ちた核燃料と炉内構造物)の写真、放射線量が高いエリアで作業する際のカバーオール全面マスク等が展示されており、スタッフから説明を受けた。

1F視察に当たっては、事前に提出した運転免許証等の身分証明書のナンバーを当日現物確認する他、カメラ等の撮影機材や時計、手荷物の持ち込みが厳しく制限されている。

1F1~3号機は、2011年3月の事故で炉心溶解(メルトダウン)が起き、廃炉作業が続いている。1~3号機のデブリは、推計で800㌧を超えると言われている。

1Fでは地下水などが原子炉建屋に流入し、高濃度の放射性物質を含む汚染水が発生している。汚染水から放射性物質を「多核種除去設備(ALPS)」で除去した処理水は、構内のタンクに貯蔵される。処理水は、1日150㌧発生、11月14日時点で109万㌧となり2022年夏頃に満杯となる。

1Fでは、原発を廃炉にし自然に戻す作業が今後40年余り続き、一方で柳生菜園では、耕作放棄地を自然豊かな畑に生き返らせ、生物多様性を守る努力が続けられている。1Fとオーガニックコットン畑では、自然に対する二つの異なった営みが続く。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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