生分解性プラスチックは本当に分解するのか(下)

汎用プラスチックのリサイクルを阻害する可能性

まだ種類は少ないが、海洋生分解性プラスチックと呼ばれる海で分解するプラスチックも開発された。セブンイレブン・ジャパンの一部店舗のセブンカフェ用ストローにも導入され、海洋プラスチック汚染の解決策の1つとして注目される。

しかし、海洋生分解性プラスチックとはいえ、海中ですぐに溶けてなくなるわけではない。認証の規格通り、海水中(30℃)で6ヶ月以内に生分解度が90%以上になるにせよ(※1)、完全に分解するまでの間は海洋生物に被害をもたらす。

しかも、製品に使用された添加剤は海水を汚染する。意図せず海に落ちた場合は、生分解性であることが役に立つこともあるが、だからといって海洋投棄を前提にはできない。

土壌環境で分解するものであれ、水環境で分解するものであれ、今後、生分解性プラスチックが大幅に増産されるならば、汎用プラスチックと一緒に回収された場合でも、分離できる技術を開発する必要があるだろう。

現行のプラスチックリサイクルシステムに生分解性プラスチックが混入すると、リサイクルを阻害する可能性があるためだ。

広がるプラスチック汚染、解決にはリユース社会の構築を

環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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