世界を席巻する電動キックボードの光と影(上)米国編

■ニューヨークでは安全性など争点

これらの動きのなかで気になるのは、同州からハドソン川を挟んだ隣のニューヨーク市だ。

ニューヨーク市内の移動は、24時間稼働の地下鉄や自転車シェア、シェアリングカーサービスなどのおかげで、近年便利になった。とは言え、問題点も依然多い。

一度でも観光で訪れたなら、日常的に発生する交通渋滞を体験しているだろう。時間帯によってまったく捕まらないイエローキャブ、乗車料が値上がりの一途で運転手や同乗者とのトラブルも少なくないウーバー、汚い臭いスケジュール通り運行しないと悪名高い地下鉄など、市民が移動手段で満足することはない。否応無く、電動キックボード導入への期待は高まる。

しかしホーボーケン市での試行では、電動キックボードが歩道や広場に乗り捨てられたり、酔った利用者による事故で逮捕者が出るなど、一部の悪しき実例も報告されている。これらの問題点がフックとなり、ニューヨーク市内でのシェアリングは未だ導入に至っていない状況だ。

また、市内では自転車が自動車に巻き込まれるなどの死亡事故が日常茶飯事で起きており、近年は増加傾向にある。ABC7など地元メディアの報道では、午後の時間帯だけで起きる自転車事故の平均数は毎日3件にも上り、このままいけば今年だけで死者数は30人(昨年の3倍以上)に達するのではないかとの予想もある。

交通量も他都市と比べ物にならないくらい多い大都市だからこそ、利用者の安全性がどのように守られるかが争点になる。今後導入が進むか否かは、エリザベス市などほかの街での調査結果も左右してくるだろう。

 

世界を席巻する電動キックボードの光と影(中)台湾編

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