ところが今では極右政党の政治家が増え、マスコミでの露出度も高い。極右の差別思想を差別と思わない人が増えたのではないだろうか。筆者はパリに住んで10年経った2002年に、初めて人種差別をされ、大きなショックを受けた。
大統領選挙第一回目で極右政党「国民戦線(現・国民連合)」のジャン=マリー・ル・ペン候補が2位になり、決選投票に進む直前のことだ。新聞を買おうと寄ったキオスクで、販売の女性から「国に帰れ」と言われた。
その後、道路を渡ろうとしたら、前を走り去る車の中から「赤だよ、黄色!」という声が飛んだ。前回の2017年の大統領選でも「国民戦線」のマリーヌ・ル・ペン候補が2位になった。アジア系差別は、アフリカ系やアラブ系差別に比べると表面に出にくい。それが一挙に出たのは、フランス人の人権意識が劣化したからではないかと危惧している。
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