新型コロナ、大企業の国内外拠点で感染相次ぐ

■「BCP役に立った」

緊急事態に際して、どのような対応策をとるべきか。災害などの際に事業資産の被害を最小限にとどめ、中核となる事業を継続するために必要なことをあらかじめ定めたものが事業継続計画(BCP)だ。

資生堂は、新型インフルエンザなど感染症のケースを想定したBCPのなかで、感染拡大の4つのフェーズに応じ、休業などの実施指針や社員の行動基準などを定めている。

同社は2月26日、国内グループ社員の約3分の1にあたる8000人を対象に、基本的に在宅勤務とした。出社が必要な場合は、できるだけ社員同士が交わる機会を少なくする交代勤務などでリスクを分散する体制とし、4月30日まで継続中だ。

資生堂では、スペインでの事業を統括する同社子会社で3月6日以降に現地従業員3人に感染が発覚。オフィスを2週間閉鎖し、消毒処理などの感染防止策を行った。

同社グローバル広報部は「事前にBCPを策定していたことは、対応を進めるにあたって明らかに役に立った。特に初動を早くとれることが重要だ。想定していたシナリオ通りではないが、組織の動かし方などの考え方を応用できる。また事前に想定していたことで、非常事態のなかでも一定の安心感をもって対応にあたることができる」と話した。

人材紹介会社のエンワールド・ジャパンが、企業の人事・採用担当者554人を対象に今年2月に実施したアンケートによれば、「感染症を想定したBCPが策定されていた」企業は全体の22%に留まった。また「新型コロナを受けてBCPに感染症対策を追加した」企業は22%、「追加を検討している」企業が17%、「BCPは策定していない」企業が26%という結果だった。

エンワールド・ジャパン「新型コロナウイルスの感染対策」アンケートから

大阪商工会議所は4月から、中小企業を中心に年間延べ1万社を目標にBCP策定を支援する計画を進める。常時から、非常事態への対応を考えることの重要性を呼び掛けている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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