持続可能なSDGs消費とは何か(笹谷 秀光)

■企業としてのSDGs の目標12への対応
では企業はこれにどう対処していくべきか。目標12の指標「12.8.1」自体は、目標4の指標とも関連しているものの、消費者「教育」の視点のみであることが気になる。企業としては、教育の視点だけでなく、消費者のライフスタイルを変革するための積極的な情報提供、提案や商品開発にも踏み込んでいくべきであろう。

トヨタ自動車は、2015年に長期目標「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表。新車CO₂ゼロチャレンジ、ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジなどの「6つのチャレンジ」は、意欲的な内容で、内外からの評価を高めた。

その後2017年に、SDGsの目標年次2030年に合わせ、「2030マイルストーン」を発表し、同社の「サステナビリティ・データ・ブック2018」では、6つのチャレンジについてSDGs 目標6、7、9、12、13が示されていた。

これが一気に進化した。最新の「同ブック2019」(2019年9月公表)では、6つのチャレンジに対応するSDGsがすべてターゲットレベルで示された。

特に、「2:ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ」(車ができてから廃棄されるまでのCO2)ではSDGs目標13「気候変動」のターゲット13.1(CO2削減)に加え、目標12「つくる責任つかう責任」のターゲット12.8「持続可能なライフスタイル」が示されていることが注目される。

このトヨタの目標12のターゲット12.8「持続可能なライフスタイル」は重要だ。トヨタは「自動車」の会社から「モビリティ」の会社への変革を推進しており、サステナブルな「モビリティ」を提供し人々のライフスタイルの変革に貢献するという内容を、SDGsとして示すと、ターゲット12.8になるのであろう。

■目標12での「つかう責任」

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笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

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キーワード: #SDGs

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