一般の企業ではもちろん、どんな組織でも考えられないことです。「万が一」はいつでも起こりえます。阪神淡路大震災や東日本大震災は記憶に新しいし、首都圏直下地震なども心配です。どこの団体もまさかに備えて準備しています。ところが、公益法人の場合は、それが制度的にできない仕組みなのです。
その上に、心胆を寒からしめているのが、「財団法人は純資産額(正味財産)が2期連続で300万円を下回った時は強制解散」(一般法人202)という恐るべき規定です。
そもそも規制がきつくて、余分な利益をあげられず、頑張ってあげても貯められず、何か突発事故で赤字になったら取り潰しという情け容赦のない法制度なのです。
そして、その突発事故が今まさに起こっています。コロナ禍です。法律通りなら、解散させられる団体は激増するでしょう。新型コロナウィルスによって制度の欠陥が露わになっているわけです。
かつて公益法人は役人の天下りや高額な報酬、退職金問題といった主務官庁制の弊害による官民癒着が批判を呼びました。それが2008年の公益法人制度改革につながった経緯は記憶に新しいところです。今も、広義の公益法人である社会福祉法人、宗教法人などの一部に課税問題が存在するのも確かです。
しかし、悪いイメージに引きずられて内閣府が新しい時代に対応しきれていないとすれば残念です。競争原理を導入し、民の活力を生かす、社会のためになる公益活動を推進すべき時です。