新型コロナで「脱プラスチック」に異変(NY編)

新型コロナによる死者が2万人を超えた米ニューヨーク州で「脱プラスチック戦略」に異変が起きた。今年3月からスーパーでのプラ製レジ袋配布を禁止し、本格的な「脱プラ」の一歩を踏み出すはずだった。しかしコロナの感染爆発にともない、レジ袋の配布停止が延期に。レストランでは持ち帰り用プラ容器が復活し、医療現場でもビニール製やプラ製の防護具が主流だ。再び脱プラ戦略を軌道に乗せられるのか。(米ニューヨーク=安部かすみ)

パンデミックになり、スーパーでは大量のプラ製レジ袋が復活(c) Kasumi Abe

米ニューヨーク州では、1度使っただけで捨てられるプラ製レジ袋の数が年間約230億枚にもなる。

「それらが使用される平均時間はたったの約12分。その後はゴミになるだけだ」

スーパー、デリ、ドラッグストアなど小売店での使い捨てプラ製レジ袋の提供を禁ずる法案を提案したトッド・カミンスキー上院議員はこのように述べ、今春施行された新法に大きな期待を寄せていた。

法律施行の初日である3月1日、筆者は市内のスーパーやアパレルなどを見て回った。「ほとんどの店」でプラ製レジ袋は見事に姿を消し、5セントの紙袋がその代わりに置かれていた。店によっては「マイバッグを持参しゴミを減らそう」キャンペーンが大々的に行われ、プラ製品がいかに時代遅れかを人々に啓発していた。

「州法により3月1日からはプラ製レジ袋の配布が禁止に。紙袋は5セント」。レジに貼られたステッカーはそのまま(c) Kasumi Abe

「ほとんどの店」と書いたのは、州では在庫を捨てるのではなく使い切る方が大切だとし、1ヵ月の移行期間を設けていたからだ。よって一部の店ではまだプラ製レジ袋が配布されていた。

どちらにせよ3月上旬を振り返ると、買い物客のほとんどがエコバッグか紙袋を手にするようになり大きな変化を感じたものだ。そして4月1日からグリーン都市として、ニューヨークは生まれ変わるはずだった。

人はパンデミック下でプラスチックに頼らざるを得ないか

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