■京大も2020年夏ごろまでには発表予定
日本の水道水に含まれるマイクロプラスチックについては、2020年2月に開催された埼玉県環境科学国際センター主催の講演会でも話題になった。講演した田中周平・京都大学准教授が、会場からの質問「日本の水道水にマイクロプラスチックは含まれるか」に答えて、その存在を肯定したのだ。
講演会終了後に質問したところ、田中准教授は「調査結果をまとめているところなので、浄水場とも相談した上で夏ごろまでには公表したい」と答えた。両准教授らの研究により、近い将来、日本の水道水に含まれるマイクロプラスチックの全体像が見えてきそうだ。
■水道水とペットボトル、マイクロプラスチックはどちらが多い?
日本で販売されるペットボトルについては分からないが、海外で販売されるペットボトルからは多くのマイクロプラスチックが検出されている。
環境・社会問題の専門サイト「オーブ・メディア」(本部・米ワシントンDC)は2018年、ニューヨーク州立大学フリードニア校の研究者らへ委託し、ペットボトル飲料水に含まれるマイクロプラスチックを検査した。
その結果、9カ国259本のペットボトル水の242本(93%)からポリプロピレンやナイロン、PETなどのマイクロプラスチックが見つかった。0.1ミリメートルを超えるものは1リットルあたり10個ほどで、それ以下のサイズのものも合わせると325個であった。
「オーブ・メディア」が調べたペットボトル水は、アメリカ、ブラジル、中国、インドネシア、インド、ケニア、レバノン、メキシコ、タイで販売されていた11の主要な国際ブランドだ。
検出された原因として、ボトル容器やキャップに使用されていたポリマーなどが製造工程で混入した可能性や、水源が汚染されていた可能性などが指摘されている。
しかし、「オーブ・メディア」のペットボトル水の調査結果は精度が低く、過大だと指摘する研究者は多い。実際には1リットルあたり0~5個だと反論するメーカーもある。
今回見つかった日本の水道水中のマイクロプラスチックを1リットルに換算すると0.06~0.112個になる。日本の水道水とペットボトルは、どちらのマイクロプラスチックが多いのか亀田准教授に聞くと、「どちらの方が多いかは、今のところまだ分からない。調べるマイクロプラスチックのサイズによっても、結果は変わる可能性がある」と答えた。
「水道水からも検出:マイクロプラスチックを考える(下)」に続く
http://www.alterna.co.jp/30915