「未来に何を遺すか」葬送のカタチ提案するブランド

■新型コロナ対策「遺族の立場で」

新型コロナウイルスの感染拡大により、葬儀のあり方にも大きな影響が出ている。3月下旬にタレントの志村けんさんが亡くなった際には、遺族が遺体に対面することすら叶わなかったことが報道された。

「遺族や関係者にとって、直接対面してお別れができないということは、非常につらいこと。感染防止対策を行いながらも、どのようなあり方が可能なのか、知恵を絞らなければならない」(坂本さん)

例えば遺体が新型コロナに感染していた場合に遺体を包む納体袋について、故人と対面できるように透明のものが普及し始めている。西川善(金沢市)などの事業者が開発し、自治体では神戸市などが用意するほか、葬儀社の間でも取り組みが広がってきているという。

新型コロナによる死亡者について厚生労働省が定める指針では、遺体を納体袋に密封して消毒を行えば、搬送の際に「特別の感染防止策は不要」とする一方、遺体搬送や火葬の従事者には手袋などの着用が必要と規定。通常の葬儀を含め「できる限り遺族の意向を尊重した取り扱い」を求めている。3密を避けるなど感染拡大防止の実施を前提としつつ、病院や自治体、葬儀社や遺族を含めた的確な情報の共有が求められている。

「ITツールを活用したリモートでの葬儀や、映像化したDVDを来られない弔問客に配布するといった対応も模索していきたい。遺族の立場に立って『じゃあどうするか』と考えることが私たちの役割。個々の斎場や火葬場の事情など、地域に根差しているからこそ把握し提案できることもある」

坂本さんは「顧客に葬儀ブランドとして選んでいただくことで、それを地域社会や経済を支えていくことにつなげていきたい」と力を込めた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #新型コロナ

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