自動車技術と火薬、そしてエコシステム(清水和夫)

■オルタナ本誌60号 モビリティの未来から

今号(60号)では「サーキュラーエコノミー」が特集されているが、これは日本語でいうと「循環経済(社会)」と理解できる。実はこのようなライフスタイルは、江戸時代の市民社会で実現しており、重機がない時代に、街の人口が増加したことに対する人々の知恵だった。

もうひとつ、面白い話を聞いたことがある。世界遺産で有名な岐阜県の白川郷の昔話だが、ここはトヨタの自然学校がある。この地域の冬は厳しい。ときには数メートルの雪が積もるが、昔は重機もないために、村人の暮らしは循環社会だったという。

合掌造りの家では食料を備蓄することが求められていたが、あるモノを作り、経済的なエコシステムを実践していた。

時は徳川家が日本を支配していた江戸時代。この里山では黒色火薬の原料となる煙硝(硝酸カリウム)が極秘に作られていたという。製造された煙硝は険しい山道を人力や馬牛を使って輸送され、加賀百万石という巨大な領地を持つ前田家に届けられていた。

徳川政権に対する謀反と見なされる恐れがあるので、火薬の輸送路は極秘にされていた。白川郷と五箇山地区の煙硝づくりはその後、300年以上も続けられてきた。

実はこの煙硝作りは里山生活の自給自足の循環社会の知恵から生まれた。合掌造りの家では養蚕でカイコを育てていたが、その糞が火薬の原料となる。

*この続きは雑誌「オルタナ」60号(第一特集「循環経済(サーキュラーエコノミー)はR(リサイクル)よりもR(リデュース)」、3月30日発売)に掲載しています。

2020年5月15日(金)15:11

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