フェイスブックへの広告ボイコットはなぜ起きたのか

■「ウィー・アー・スティル・イン」(2017年)が転機に

象徴的なのは2017年に始まったアドボカシー「ウィー・アー・スティル・イン」(We Are Still In)だ。とトランプ氏が2016年の大統領当選直後に気候変動枠組条約の「パリ協定」(2015年12月採択)からの脱退を表明したことに抗議し、大きなうねりが起きた。

「ウィー・アー・スティル・イン」とは、「私たちはまだパリ協定の中にいる」という意味だ。スターバックスやカーギルなど企業約2000社、カリフォルニア、ニューヨーク、オレゴン、ミネソタなど10州、ニューヨーク市、ロサンゼルス市など250都市、カリフォルニア大学やニューヨーク州立大学など500校以上、カルパース(カリフォルニア年金基金)、ボストントラストなど150の投資機関が参加する一大ムーブメントになった。

こうしたアドボカシーは、企業、自治体、大学、投資家などセクターの枠を超えて、社会課題の解決に協力するオープンな組織形態で、昨年末から欧州で活発になった「グリーン・リカバリー」なども同様だ。

これまでのアドボカシーは気候変動や途上国の人権問題に関わるものが多かったが、今回のFBボイコットは、人種問題、特にアフリカ系住民に対する差別という、古くて新しい社会課題が加わった。LGBTなどジェンダー問題に取り組むアドボカシーも活発化している。

ほんの数年前まで、海外企業もこうした社会課題について、事後対応的に取り組むことはあっても、積極的に参加することは少なかった。しかし、例えばスターバックス自体も黒人客に対する扱いを巡って謝罪に追い込まれるなど、事後対応では済まされない状況が続いていた。

■新型コロナの感染拡大で「社会の沸点」が下がる

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