フェイスブックへの広告ボイコットはなぜ起きたのか

■新型コロナの感染拡大で「社会の沸点」が下がる

今回のFBに対する広告ボイコットも、数々の社会課題の矛先が自社に向く前に、アドボカシーに参加して積極的な対応を取ることで、消費者や投資家からの共感を得たいという思いも透けて見える。しかし、それは「免罪符」的というよりは、先に手を打つことで、経営陣の強い意志を社内外に浸透させようという戦略と受け止めて良いだろう。

黒人の差別問題は米国政治において常にホットイシューであった。だからこそ米国企業からも素早い動きがみられた。日本企業も、米国に進出していたり、子会社や工場を持っているのであれば、常に社会の変化を先取りし、先手を打っていかないと、こうした社会課題リスクに直面することになる。

さらには、社会課題に敏感とされるミレニアル世代(1980年生まれ以降)が全世界人口において最大勢力となり、それに続くZ世代(1995年)は社会課題への関心がさらに高い以上、消費者だけでなく、対従業員対策としても、社会課題を念頭に置くことが重要になってきた。

これらは米国だけの話ではなく、先進国でも途上国でも、さらには日本でも起きうる「CSRリスク」だ。6月30日に発売したオルタナ本誌最新61号の第一特集でも、新型コロナの感染拡大によって格差が拡大し、貧困や生活苦の拡大によって「社会の沸点」が下がり、その矛先が企業に向かう可能性を指摘した。「対岸の火事」と捉える企業は、火の粉を浴びる時代になってきたことを、すべての経営者が認識することが重要だ。

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