「レジ袋は海ごみの0.3%」と言い訳してよいのか

ボランティアによるごみ拾い結果の一例。全国川ごみネットワーク「水辺のごみ見っけ!」(2019年4月〜11月)では、のべ9305人が川・海・湖沼で1万5008枚のレジ袋を拾った(出典:水辺のごみ見っけ!2019の結果パンフレットより抜粋)

レジ袋は砂浜にも埋もれている。破砕されレジ袋か分からない海ごみも多い。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の「深海デブリデータベース」で「ポリ袋」と検索すると、水深1万メートルの超深海帯にもレジ袋は沈んでいる。つまり、漂着ごみのデータだけでは過小評価になる。

生活の場にあふれるレジ袋は、意図的なポイ捨てのほか、ごみ集積地から風に飛ばされたり、暴風雨や津波に運ばれたりして川や海に出る。ごみ拾いも有効だが、ボランティアに頼るシステムには限界があり、効果も削減にはかなわない。

日本政府は2019年のG20で「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を掲げ、プラスチックの海洋流出ゼロを約束した。レジ袋の有料化も、削減計画の一環だ。無料配布の余地を残した緩い規制であり、感染症対応など新たな課題もあるが、まずは一歩を踏み出した。

便利なプラスチックは、普及後50年で、人体にも極域の氷にも含まれる不気味な異物になった。マイクロプラスチック研究は始まったばかりで環境影響は未解明だが、少なくとも化石資源を消費するレジ袋を無料で使い放題という時代は、二度と来ないのではないだろうか。

chiyosetouchi

瀬戸内 千代

オルタナ編集委員、海洋ジャーナリスト。雑誌オルタナ連載「漁業トピックス」を担当。学生時代に海洋動物生態学を専攻し、出版社勤務を経て2007年からフリーランスの編集ライターとして独立。編集協力に東京都市大学環境学部編『BLUE EARTH COLLEGE-ようこそ、地球経済大学へ。』、化学同人社『「森の演出家」がつなぐ森と人』など。

執筆記事一覧

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..