映画「もったいないキッチン」、食ロス解決策を提案

食だけでなくエネルギー問題にも触れる

本作では、食べ物を中心としながらも、「もったいない」に関連するエネルギーや、プラスチックの使い過ぎ問題まで話しが膨らんでいる。プロデューサーの関根さんは、「食品ロスを削減するという目的だけではなく、サステナブル・ソリューション(持続可能な未来への解決方法)へのヒントを提案する作品にしたいと思った」と話すように、事前の入念なリサーチをする中で、発展的に見つけたストーリーも多いという。

映画のプロデューサーであるユナイテッドピープル代表の関根健次さんは、食品ロスに限らず、環境問題をはじめとした社会課題全般をテーマにした映画を制作や配給を行っている

最終的に、事前リサーチだけでなく、実際インタビューや撮影を行なったものの、本編に入れられなかったストーリーもあるという。「映画として、1時間半の長さにまとめられるように、監督と構成を練る中で苦渋の決断をしなくてはならなかった」と関根さんがいうように、食にまつわる伝えたいストーリーはまだ沢山あるようだ。

「多くの日本人は、『もったいない』という言葉を気軽に使うが、その本当の意味を深く考えて使っている人はあまりいないように思う」と話すダーヴィドさんは、この撮影を通して「もったいない」という言葉が、単純な「無駄にしない」という考えを飛び越えたものだということに、自身だけでなく、インタビューした相手が気が付き、一気に話しが盛り上がることが何度もあったと話す。

「もったいない」という言葉は食べ物の話しだけではなく、その背景にはあらゆる生き物には命が宿り、それを尊ぶ精神であり、突き詰めると社会とどう向きあうかという姿勢にも関係する。

「アイデアを考え始めると、いろいろなことができる。『これもったいなくない?』とちょっとした意識を変えるだけで、問題解決の発想のキーになる。これはどうなっているのか?こういう風にはできないか、という想像力や好奇心を促すような作品にするためにも、沢山の事例を紹介するストーリーにした」と関根さんが言うように、映画を見た人が、見終えた瞬間から何かしら社会を変えようと行動する一歩を踏み出せることができるようにしたい。そんな思いが詰まった作品だ。

「良いメッセージは広がる」と話すダーヴィドさんの思いを具現化した映画全体を覆い尽くすポジティブなエネルギーと相まって、その影響力の伝道力を感じさせられた。なお日本語吹き替え版では、ダーヴィドさんの声を、俳優の斎藤工さんが演じる。

予告編:

映画情報:
監督・脚本:ダーヴィド・グロス
出演:ダーヴィド・グロス、塚本ニキ、井出留美 他
プロデューサー:関根健次

2020年/日本/日本語・英語・ドイツ語/95分/カラー/16:9/制作・配給:ユナイテッドピープル/提供:クックパッド株式会社/配給協力・宣伝:クレストインターナショナル

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